物を所有することの呪い

さっそく部屋の片づけをはじめたいところなんだが・・、
その前に、根本的な話なんだけどさあ・・。
お前の部屋、物が多すぎだろ。どう考えても。

まあ片付けが苦手な人間の部屋はだいたいそうなんだが、とにかく物が多すぎる。
しかしよくもまあこんだけためこむもんだよな。
ククッ・・。逆に感心するぜ。

部屋の大きさに対してこれだけ物が多いと、どんな片付けの達人だってスッキリ片付けられるわけがない。考えてもみれば当然だが。

まずさあ、部屋を見渡してみろよ。
そして部屋の物の中で、
・この半年のうちに一度でも使った物
・半年間で一度も使わなかった物
がそれぞれどのくらいあるか見てみろ。

つまりお前は、使わない物にまみれて生活しているってことだ。

おかしなもので、人間はやたらと物をためこむ習性がある。それを自分の資産だと言ってな。
だが、物を所有するということには、メリットだけでなくデメリットもあることに気づいていない。

そうだ。物を持つことにはデメリットがある。
　
例えば、お前がプリンターを買ったとするだろ？
そうすると、好きな時に写真や資料なんかを印刷できるようになる。これがプリンターを買うことのメリットだよな。
一方でプリンターをもつことにはデメリットも発生する。それが何だかわかるか？

そうだな。印刷するには、インクや印刷用紙を買わなきゃならない。細かいことをいうと電気代もかかるよな。
こういった、いわゆる『ランニングコスト』がかかる。

だがデメリットはそれだけじゃない。
まず、置き場所が必要になる。これは、プリンター本体の置き場所だけじゃないぞ。替えのインクや用紙、説明書、それと人によってはプリンターの外箱も取っておくだろ？そう考えると結構な置き場所が必要になる。

まだあるぜ？それは管理する手間や時間だ。
パソコンにソフトウェアをインストールしたりバージョンアップしたり、インクが詰まっているときにはクリーニングしたりするだろ？ホコリがたまったら掃除もしなくちゃならん。
こういう手間は、プリンターを買わなければ当然発生しなかったものだ。

・・・。
　
ここでオレが言いたいのは、プリンターを買うことが悪いってことではないんだ。
そうじゃなくて、物を所有することには、メリットと同時にデメリットも発生するということだ。それが分かってないやつが多すぎる。それか、わかっているけど所持することがやめられないってやつだな。

いいか。物を所有するってことはな。
「物を持つメリットを享受するとともにデメリットも受け入れる」ということだ。
これは言わば、一種の『呪い』のようなものなんだぜ？

そうだ。メリットを得るのと引き換えにデメリットも受け入れる必要があるってことだ。
まあその覚悟があったうえで物を所持するんなら問題ないのだが。

お前のように、ひたすら物をどんどんため込んでいくとどうなるか。
　
物をため込んでも、多すぎる物は活用できない。
例えば、スプーンを100本持っていても意味ないだろ？
一般家庭でそんなに使うわけがない。
でもさあ、家の中のスプーンを全部数えてみたら100本あった、なんていう家は実際にはいくらでもある。皮肉なことだよな。

活用できない物はそのメリットを発揮できていないってことだ。
だが、恐ろしいことにデメリットはそのまま残る。
つまり、場所を取るし、管理や掃除をする手間も発生する。ものによっては維持費もかかる。

・・活用できていない物が増えれば増えるほど、そのデメリットも蓄積されていく。

さあ、もう一度お前のまわりを見まわしてみろよ・・。
お前はそういうデメリットに囲まれて生活してるってことなんだぜ？

いいか。ここで、逆に「物を手放すこと」のメリット、デメリットを考えてみろ。
使っていない物を手放したとして、いったいどれだけのデメリットが発生する？
手放すことはお前にとって本当にマイナスになるのか？
そして、それを手放すことで、どんなメリットがある？
イメージしてみるがいい。

物を１つ手放すごとに、お前は１つ呪いを解かれるのだ。１歩ずつ楽になっていく。
　
・・・だがな、物を手放すってのはそんなに簡単なことじゃない。
心にいろいろなひっかかりがあるだろう。
　・もったいない、まだ使える
　・買ったときに高かった
　・思い出がある
　・プレゼントとしてもらった物だから捨てられない
　
なんでもかんでも捨てるのが正しいわけでもないし、オレはそんなことを強要するつもりもない。
しかし、思い切って処分することも必要だろう。お前はとにかく物を持ちすぎているからな。

物を持つこと、手放すこと、それから、物を本当に大事にするとはどういうことか、そういうことと正面から向き合っていくんだな。
　
やるべきことは、お前にとって本当に必要な物と不要な物を区別して、物を減らすことだ。
いっぺんにでなくともかまわん。