部屋が片付く仕組み
魔人
『部屋が片付く仕組み』について、少しだが教えてやろう。
魔人
『少し』といったのは、はじめからいっぺんに教えても伝わらないからだ。物事には順序ってものがある。だから少しだ。
だがそれでも、どういう理屈なのか、これを聞けばなんとなくわかるだろう。
だがそれでも、どういう理屈なのか、これを聞けばなんとなくわかるだろう。
カイワレ
ぜひ、お願いします。
魔人
まずさあ、お前にやってほしいことがあるんだが。
カイワレ
ええ・・!?面倒くさいことですか?
魔人
いや全然。
そこのテーブルにある、ハサミとCDと耳かきを片付けてみてくれないか?
その3つだけでほかの物は片付けなくていい。
そこのテーブルにある、ハサミとCDと耳かきを片付けてみてくれないか?
その3つだけでほかの物は片付けなくていい。
カイワレ
え、この3つだけでいいんですか?わかりました。
カイワレ
えーと、ハサミはこの引き出しかな・・、
あ、いっぱいだからこっちのペンケースに入れよう。
CDは、この本の上にでも置いておくか。
耳かきは・・、どこに置こうか・・。あー・・、いいや、とりあえずこの辺に置いておこう。
これでよし、と。
あ、いっぱいだからこっちのペンケースに入れよう。
CDは、この本の上にでも置いておくか。
耳かきは・・、どこに置こうか・・。あー・・、いいや、とりあえずこの辺に置いておこう。
これでよし、と。
カイワレ
終わりましたよ?
魔人
・・・まあ、片付いていると言えるかは微妙だが・・、良しとしよう。
魔人
でな?今やった片付けだが、実際に何をやったのか、自分の行動を振り返ってみろ。
カイワレ
え?振り返れと言われても、どこにしまうか考えてそこに持っていっただけですよ?
魔人
まあ、そうだな。
魔人
ではここで、『もし同じことを片付けの達人がやったとしたらどうなるのか』考えてみることにする。
魔人
とあるところに、片付けの達人がいたとする。仮に、そうだな・・『片付けマン』とでも呼ぼうか。
カイワレ
片付けマン??うわ・・、ダッサ・・。
魔人
ダサいとか言うなよオマエ。魔人パンチを食らいたいのか?
カイワレ
あ、ウソですすんません。カッコいいなあ。片付けマン。
魔人
いいんだよ名前なんてどうでも!説明のための便宜上のやつなんだから。
魔人
・・いいか?片付けマンの部屋にな、同じようにテーブルにハサミとCDと耳かきが置いてあったとするだろ?
魔人
それを片付けマンが片付けるとき、どう行動するか。
それはな・・、
それはな・・、
魔人
・ハサミを所定の置き場所に戻す、
・CDを所定の置き場所に戻す、
・耳かきを所定の置き場所に戻す、
以上。だ。
・CDを所定の置き場所に戻す、
・耳かきを所定の置き場所に戻す、
以上。だ。
魔人
どうだ?お前の行動と比較してみろ。
カイワレ
え!?比較してみろって言われても、同じことをやってるだけじゃないですか。
片付ける場所に持っていっただけでしょ?
片付ける場所に持っていっただけでしょ?
魔人
いや、決定的な違いがある。
魔人
お前は、物を拾い上げてから、それをどこに置けばいいかあたりを見回して考えていただろ?
しまおうとした結果、引き出しがいっぱいだったから別の場所に置いたり、どこに置けばいいかよくわからなかったからその辺に置いたりしてたろ?
しまおうとした結果、引き出しがいっぱいだったから別の場所に置いたり、どこに置けばいいかよくわからなかったからその辺に置いたりしてたろ?
カイワレ
ええ。ですね。
魔人
一方で片付けマンはどうだったか。
そういう、『どこに置くか考える』ことなく、単に物を置き場所にもどしている。
そういう、『どこに置くか考える』ことなく、単に物を置き場所にもどしている。
カイワレ
ああ、なんだ、そういうことですか。
でも、それがなんだっていうんです?結局やってることは大して変わらないじゃないですか。
でも、それがなんだっていうんです?結局やってることは大して変わらないじゃないですか。
魔人
それが大違いなんだよ。
いいか、お前が片付けをしているとき、「これはどこに置こうか」「これはどうしようか」と考えている間があるだろ?
これっていうのは時間にすれば思いのほか長くかかっているものだ。
しかも、考えた挙句に結局良い答えが見つからず、「とりあえずそのままにしておこう」のようなつまらない結果になりがちだ。
いいか、お前が片付けをしているとき、「これはどこに置こうか」「これはどうしようか」と考えている間があるだろ?
これっていうのは時間にすれば思いのほか長くかかっているものだ。
しかも、考えた挙句に結局良い答えが見つからず、「とりあえずそのままにしておこう」のようなつまらない結果になりがちだ。
カイワレ
それはたしかに、そんな気がします・・。
魔人
こういう小さな『悩み』は、今回の3つぐらいなら大したことはないが、積み重なると意外なほど疲労するものだ。
だから片付け作業を続けていると、途中でヘトヘトになってなかなか進まない。
体力がなくなるというより、気力が続かない。
だから片付け作業を続けていると、途中でヘトヘトになってなかなか進まない。
体力がなくなるというより、気力が続かない。
魔人
さて、ここで片付けマンの行動をあらためて見てみる。
行動は、ハサミ、CD、耳かきを、所定の場所に『戻す』。これだけだ。
このとき、何一つ、悩みや迷いは発生していない。というよりも何も考えていない。
なぜならば、片付けマンの場合、それぞれの置き場所が初めから完全に決まっているからだ。
このハサミはここに置く、CDはここに置く、耳かきはここに置く。
これが決まっているから、どこに置くかをいちいち考える必要が無い。
行動は、ハサミ、CD、耳かきを、所定の場所に『戻す』。これだけだ。
このとき、何一つ、悩みや迷いは発生していない。というよりも何も考えていない。
なぜならば、片付けマンの場合、それぞれの置き場所が初めから完全に決まっているからだ。
このハサミはここに置く、CDはここに置く、耳かきはここに置く。
これが決まっているから、どこに置くかをいちいち考える必要が無い。
魔人
要するにな?片付けマンの片付けっていうのは、単に『戻す』だけの作業なんだよ。
魔人
何も考えずに片付け作業を進行できる。
なんにも考える必要が無いから、あっという間に終わる。この3つくらいだったら一瞬で完了する。
この違いがわかるか?
なんにも考える必要が無いから、あっという間に終わる。この3つくらいだったら一瞬で完了する。
この違いがわかるか?
カイワレ
でも、ということは、片付けマンは、部屋のすべての物の位置をあらかじめ決めておいて、それをすべて覚えているっていうんですか?
魔人
まあ、そういうことになるな。
カイワレ
ええ!?
そんなこと、とてもボクにはできそうにない・・。
そんなこと、とてもボクにはできそうにない・・。
魔人
まあ待て。
勘違いしてほしくないのだが、これは、『物の位置を決めてそれを暗記しておく』みたいな、記憶術めいたことじゃないぞ?
物を適切にコントロールし、収納を工夫しているうちに、部屋のどこに何がいくつ入っているか、ほぼ完全に把握できるようになる。
覚えようとするんじゃなくて、自然と把握できるようになっていく。
勘違いしてほしくないのだが、これは、『物の位置を決めてそれを暗記しておく』みたいな、記憶術めいたことじゃないぞ?
物を適切にコントロールし、収納を工夫しているうちに、部屋のどこに何がいくつ入っているか、ほぼ完全に把握できるようになる。
覚えようとするんじゃなくて、自然と把握できるようになっていく。
魔人
記憶している、というよりは、すべてが管理下にある、というイメージだな。
お前のような人間でもできることだ。
だが、いきなりそういう仕組みは完成しない。いくつかの段階が必要だ。
しかし、一歩ずつ進めていけば、いずれそういう状態になっているだろう。
お前のような人間でもできることだ。
だが、いきなりそういう仕組みは完成しない。いくつかの段階が必要だ。
しかし、一歩ずつ進めていけば、いずれそういう状態になっているだろう。
達人が感じる違和感
魔人
それともう一点、片付けマンとお前には大きな違いがある。
魔人
片付けマンのような人間は、もしもテーブルの上にハサミ、CD、耳かきが置いてあった場合、強い違和感を感じるものなんだ。
なぜかというと、本来の置き場所に置いていない状態だから。違和感を感じて元の場所に戻したくなる。
なぜかというと、本来の置き場所に置いていない状態だから。違和感を感じて元の場所に戻したくなる。
カイワレ
ボクでも「散らかったから片さなきゃ」って思うことはありますよ?
そういう気持ちとは違うものなんですか?
そういう気持ちとは違うものなんですか?
魔人
ああ、それとは違うな。
そういう『義務感』というよりは、『違和感』だ。いつもの置き場所に無いから気持ち悪いんだよ。
だから、気づいたときにサッと片付けて置き場所に戻す。努力してそうしているんじゃなくて、自然とそうしたくなるんだよ。
そうなると、部屋は散らからない。
部屋が片付いている状態がデフォルトになるんだ。
そういう『義務感』というよりは、『違和感』だ。いつもの置き場所に無いから気持ち悪いんだよ。
だから、気づいたときにサッと片付けて置き場所に戻す。努力してそうしているんじゃなくて、自然とそうしたくなるんだよ。
そうなると、部屋は散らからない。
部屋が片付いている状態がデフォルトになるんだ。
魔人
部屋を単に片付けるだけでは、いずれまた汚部屋に戻ってしまうだろう。
大事なのは、部屋が片付いたらそれで終わりじゃなくて、そこから部屋が散らからない仕組みを作っていくことにある。
大事なのは、部屋が片付いたらそれで終わりじゃなくて、そこから部屋が散らからない仕組みを作っていくことにある。
魔人のシンプルライフとは
魔人
ここまでの話の中で、ひとつ心に止めておくべきキーワードがある。
それは『悩み』だ。
それは『悩み』だ。
魔人
さっきの話でも『悩み』が出てきたな。
カイワレ
ハサミやらなんやらをどこに置くか思考すること、それも小さな『悩み』だ、というやつですね。
魔人
そうだ。
片付けマンは、この小さな悩みを発生させないことでスムーズな片付けを実現している。
言い換えると、『楽に』片付けを行っている。
片付けマンは、この小さな悩みを発生させないことでスムーズな片付けを実現している。
言い換えると、『楽に』片付けを行っている。
魔人
生活していく中で、いろいろな『悩み』、『迷い』が発生するよな。
もしもこういう悩みが少なくなれば、生活はとてもスムーズに、そして『楽に』なる。
もしもこういう悩みが少なくなれば、生活はとてもスムーズに、そして『楽に』なる。
魔人
では、『悩み』、『迷い』の発生を抑えるにはどうすればいいか。
それは、どんなことでも、シンプルに、明快に、一目瞭然にしておくことだ。
そうすれば、なにか問題が発生しても、どうすればいいかおのずと答えが出るようになる。
考えること自体がそれほど必要ではなくなる。
「うーん」と唸る必要もなく、行動に移ることができる。
そうするとな?部屋も頭の中もスッキリして、生活がめちゃくちゃ楽なんだよ。
それは、どんなことでも、シンプルに、明快に、一目瞭然にしておくことだ。
そうすれば、なにか問題が発生しても、どうすればいいかおのずと答えが出るようになる。
考えること自体がそれほど必要ではなくなる。
「うーん」と唸る必要もなく、行動に移ることができる。
そうするとな?部屋も頭の中もスッキリして、生活がめちゃくちゃ楽なんだよ。
魔人
お前って、ものすごくズボラだろ?
ズボラだから面倒くさいことを避けて、楽な生活を選択した結果がこの汚部屋だ。
では、汚部屋の対極にある、片付けマンのような生活が、楽の対極にあるかというとそうではない。
実は、とても楽なんだよ。ただ、楽の方向性は違うけどな。
怠惰な楽、ではない。悩みや無駄がお前よりずっと少ないから楽なんだ。
・・だとしたら、同じ楽ならどっちの楽を選ぶか、という話になる。
物事をシンプルにしていく方向に変えていければ、そういう楽な生活が手に入る。
ズボラだから面倒くさいことを避けて、楽な生活を選択した結果がこの汚部屋だ。
では、汚部屋の対極にある、片付けマンのような生活が、楽の対極にあるかというとそうではない。
実は、とても楽なんだよ。ただ、楽の方向性は違うけどな。
怠惰な楽、ではない。悩みや無駄がお前よりずっと少ないから楽なんだ。
・・だとしたら、同じ楽ならどっちの楽を選ぶか、という話になる。
物事をシンプルにしていく方向に変えていければ、そういう楽な生活が手に入る。
魔人
いいか、カイワレ。
オレが考えるシンプルライフとは、
『全ての物が明快であり、そうであるがゆえに、考えたり悩んだりする必要性がほとんどない状態』を目指すものだ。
オレが考えるシンプルライフとは、
『全ての物が明快であり、そうであるがゆえに、考えたり悩んだりする必要性がほとんどない状態』を目指すものだ。
魔人の教え まとめ
- 片付けの達人の片付け作業は、単に物を置き場所にもどしているだけで、どこに置くかを思考していない。
- 片付けの達人の物は、置き場所が初めから完全に決まっている。
- 片付けの達人は、物がいつもの置き場所に無いと違和感を感じ、自然と置き場所に戻したくなる。
- 『悩み』、『迷い』の発生を抑えることで生活は楽になる。
- 魔人のシンプルライフとは、『全ての物が明快であり、そうであるがゆえに、考えたり悩んだりする必要性がほとんどない状態』を目指すものである。